その「あと一着」が、後悔の始まりかも?
「一生に一度のニューボーンフォトだから、あれも着せたい、これも着せたい!」
「インスタで見かけたあの格好も、このドレスも捨てがたい…」
その気持ち、私たちも痛いほどよく分かります。生後わずか数週間の、二度と戻らない新生児期。せっかくプロに撮影してもらう(あるいは自分たちで気合を入れて撮る)なら、悔いのないようにたくさんのバリエーションを残したいと思うのは親心として当然です。
しかし、ここで少しだけ現実的なお話をさせてください。
新生児の赤ちゃんにとって、「着替え」という行為は、大人が想像する以上に過酷なものです。体温調整がまだ未熟な彼らにとって、服を脱いで肌が空気に触れる寒暖差や、手足を通すための関節の曲げ伸ばしは、大人で言うところの「全力疾走」や「ハードな筋トレ」に匹敵するほど体力を消耗する大仕事なのです。
「せっかく可愛い衣装を3着も用意したのに、1着目の着替えでギャン泣きしてしまい、あとはずっと不機嫌な顔の写真しか残らなかった…」
そんな悲しい失敗談を、私たちは数多く耳にしてきました。
無理に回数を重ねて機嫌を損ね、肝心のシャッターチャンスを逃してしまっては本末転倒です。
では、どうすればいいのでしょうか?
私たち服屋兼スタジオが提案する「正解」は一つです。
「服はとっておきの1〜2着に絞る。その代わり、『小物』で無限の変化をつける」
この記事では、赤ちゃんに負担をかけず、まるで何着も着替えたかのようにバリエーションを増やす「プロの時短テクニック」と、失敗しない衣装選びの極意を初公開します。これを読めば、赤ちゃんの笑顔を守りながら、大満足のアルバムを作ることができますよ。
プロはこう決める!撮影の「衣装枚数」と「タイムスケジュール」
まず大前提として知っておいていただきたいのが、撮影における赤ちゃんの「ご機嫌タイム」の短さです。
授乳をして、オムツを替えて、さあ撮影!と意気込んでも、赤ちゃんが集中して(あるいは深く眠って)撮影に協力してくれる時間は、およそ30分、長くても1時間程度しかありません。
この限られたゴールデンタイムをどう使うかが、勝負の分かれ目です。
理想は「メイン1着 + サブ1着」
プロの現場でも、推奨している衣装枚数は「基本は1着、多くても2着」です。
どんなに欲張っても、3着が限界だと考えてください。
おすすめの構成は以下の通りです。
- メインの1着: 「これだけは絶対に撮りたい!」という一番のお気に入りの服。家族写真やソロショットなど、この服でしっかりとバリエーションを押さえます。
- サブの1着: もし赤ちゃんがぐっすり眠っていて、まだ余裕がありそうなら着せる服。
「まずはメインの服で完璧な写真を撮ることに全力を注ぐ。サブは撮れたらラッキー」くらいのスタンスでいる方が、ママの心にも余裕が生まれ、結果的に良い写真が撮れることが多いのです。
泣かせない黄金ルートは「着衣 → 裸(オムツ)」
衣装の枚数と同じくらい重要なのが、「撮影する順番」です。
実は、赤ちゃんが一番嫌がるのは「服を脱ぐ時」ではなく、「服を着る時」です。袖に腕を通したり、ボタンを留めたりする動作が一番ストレスになります。
そこで私たちが実践している「泣かせない黄金ルート」がこちらです。
- 【準備】: 撮影開始前(授乳後など)に、すでに「メインの服」を着せておく。
- 【前半・着衣】: 赤ちゃんが深く眠っている一番良いコンディションの時に、メインの服で撮影する。
- 【後半・裸】: 目が覚めてきたり、少し動き出したタイミングで服を脱がせ、「オムツ姿」や「裸ん坊」の写真を撮る。
このように「着ていく」のではなく「脱いでいく」順番にすることで、着替えによる身体的なストレスやタイムロスを最小限に抑えることができます。裸ん坊の写真は、新生児特有のシワ感や肌の質感が際立つため、実は衣装以上に人気のあるショットでもあります。
1着なのに3通り!?「小物(アクセサリー)」で七変化させる技
「服が1着だけだと、アルバムが単調になりませんか?」
そう心配される方もいるかもしれません。でも大丈夫です。服を変えなくても、写真の印象をガラリと変えることは可能です。
これこそが、スタジオ撮影で使われる「味変(あじへん)」テクニック。
服を着せ替えるという「大手術」をするのではなく、小物を足し引きする「プチ整形」で、まったく違う世界観を作り出すのです。
テクニック①:「帽子・ヘアバンド」で顔周りを変える
最も手軽で効果絶大なのが、ヘッドアクセサリーです。
例えば、同じシンプルな白いロンパースを着ていたとしても…
- ニット帽を被せる: 暖かみのある、冬や秋のイメージに。
- 花冠やレースのバンドを乗せる: 妖精のような、幻想的で可憐な雰囲気に。
- ボンネット(耳付きなど)を被せる: クラシカルで、赤ちゃんらしい愛らしさを強調。
帽子やヘアバンドなら、寝ている赤ちゃんの頭にそっと乗せるだけ。起こしてしまうリスクはほぼゼロで、一瞬にして別のキャラクターに変身させることができます。服を買い足す予算があるなら、その分でテイストの違う帽子を2〜3個用意するのが賢い選択です。
テクニック②:「おくるみ・ブランケット」を掛ける
次におすすめなのが、布を使った演出です。
服の上から、ニットのおくるみやガーゼケットをふわりと掛けてみてください。衣装の面積が隠れ、布の質感が前面に出ることで、まるで衣装チェンジをしたかのような効果が得られます。
また、赤ちゃんの下に敷いているラグや背景布の色を変えるのも有効です。
白ベースの背景から、ブラウンやベージュの布に変えるだけで、同じ服を着ていても写真全体のトーンが一気に変わり、「別のシーン」として成立します。
テクニック③:「パーツ撮り」で手足を主役に
全身の写真ばかりが並ぶと単調に見えますが、視点を変えることでバリエーションは無限に生まれます。
- 足元のアップ: ざっくり編まれたウールの靴下を履かせて、小さな足元だけを撮る。
- 手元のアップ: ママやパパの指を握らせて、その対比を撮る。
このように、あえて顔を写さず「パーツ」にフォーカスしたカットを挟むことで、アルバム全体にリズムとストーリー性が生まれます。これも、立派な「バリエーションの一つ」です。
服屋が開発!赤ちゃんが起きない「ステルス着替え服」とは?
「それでもやっぱり、どうしても着替えさせたい衣装がある!」
「メインの服と、お祝いで頂いた服、両方残したい!」
そんなママのために、私たちは長年の経験を活かし、「着替えやすさ」に特化した撮影向きのベビー服を開発しました。もし複数の衣装を用意するなら、以下のような機能を持つ服を選ぶことが、成功への鍵となります。
「前開き」は絶対条件
首が座っていないふにゃふにゃの新生児に、頭から被るタイプの服を着せるのは至難の業です。鼻や耳が引っかかってしまい、その不快感で起きてしまう子が続出します。
撮影用の服は、絶対に「前開きタイプ」を選んでください。
赤ちゃんを仰向けに寝かせたまま、その上に服を乗せ、袖を通すだけで着せられる構造であれば、赤ちゃんの姿勢を大きく変えることなく着替えが完了します。
音のしない「サイレント・スナップ」
意外と盲点なのが「音」です。
金属製の硬いスナップボタンを留める時の「パチン!」という音。静まり返った撮影現場では、この音が思いのほか響き、音に敏感な赤ちゃんがビクッとして起きてしまう(モロー反射)ことがあります。
私たちが推奨するのは、軽い力で静かに留まるプラスチック製のスナップボタンや、音のしない紐タイプ、あるいはベルクロ(マジックテープ)式の留め具です。「静かさ」もまた、重要な機能の一つです。
驚きの伸縮性「マシュマロ・ストレッチ」
着替えで一番難航するのが「袖に腕を通す」瞬間です。
新生児の手は無意識にギュッと握りしめられていたり、腕がW字に曲がっていたりします。伸縮性のない綿シャツのような素材だと、関節を無理に引っ張ることになり、赤ちゃんが不快感を露わにします。
選ぶべきは、縦にも横にもゴムのように伸びる「ストレッチ素材」や「リブ素材」。
私たちの店で採用している「マシュマロ・ストレッチ」素材は、袖口を広げて迎えに行くように着せることができるため、赤ちゃんの関節の動きを一切邪魔しません。この「スルッ」と通る感覚が、赤ちゃんの平穏を守ります。
まとめ:賢いママは「服」を絞って「小物」で遊ぶ
ニューボーンフォトの成功の秘訣は、「詰め込まないこと」にあります。
- 撮影枚数の正解は「無理のない1〜2着」まで。
- 着替えという「リスク」を冒すよりも、帽子や靴下、おくるみなどの「小物」を使って、安全にバリエーションを増やそう。
- もし着替えさせるなら、「前開き・ストレッチ・静音」の機能的な服を選び、赤ちゃんを「不快」にさせない工夫を。
写真に残したいのは、豪華な衣装を着て泣き叫んでいる顔ではなく、リラックスしてスヤスヤ眠る、天使のような我が子の姿はずです。
「服はシンプルに、小物は多彩に」。
このルールさえ守れば、赤ちゃんもママも笑顔のままで、一生の宝物になる最高のアルバムが完成しますよ。
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