SNSや広告で目にする、神秘的で愛らしいニューボーンフォト。
小さな手で頬杖をついてちょこんと座る姿や、おくるみに包まれてミノムシのように丸まっている姿は、まるで妖精のような可愛らしさです。「うちの子もこんな風に撮ってみたい!」と憧れるパパやママも多いことでしょう。
しかし、その魔法のような写真の裏側に、「赤ちゃんの命を守るための高度な技術」が隠されていることをご存知でしょうか?
結論から申し上げますと、ニューボーンフォトで人気の「頬杖ポーズ(フロッギーポーズ)」や「ミノムシポーズ(おくるみ巻き)」の多くは、一発撮りではなく、安全のために「合成(レタッチ)」で作られています。
この記事では、ニューボーンフォトの美しいポーズがどのようにして作られているのか、その知られざる裏側(種明かし)を解説します。プロが実践している安全管理と、決して真似してはいけない危険なポーズについて、正しい知識を身につけましょう。
ニューボーンフォトの「神ポーズ」は本当に撮れるの?
InstagramなどのSNSで「#ニューボーンフォト」と検索すると、信じられないほど完成度の高い写真がたくさん出てきます。
- 頬杖ポーズ(フロッギーポーズ):両手で顔を支え、カエルのように座っているポーズ。
- ミノムシポーズ(ポテトサック):おくるみで頭から足先まで丸く包まれ、直立またはカゴに入っているポーズ。
- ハンモックポーズ:布に包まれて空中に浮いているようなポーズ。
これらの写真は、一見すると赤ちゃんが自力でそのポーズをとっているように見えます。しかし、そのほとんどは「合成(コンポジット)」と呼ばれる編集技術によって作られたものです。
なぜなら、生まれたばかりの新生児に、自力でポーズをとらせることは身体的に不可能であり、無理に行えば重大な事故につながるからです。
合成が必要な絶対的な理由|新生児の身体的特徴
生後3週間頃までの新生児には、以下のような身体的特徴があります。
- 首が座っていない(頭を支えられない)
新生児の頭は体重の約3分の1を占めるほど重く、首の筋肉は未発達です。自力で頭を持ち上げることはおろか、支えることさえできません。 - 関節が柔らかいが、脱臼しやすい
体は非常に柔軟ですが、股関節などはまだ未成熟で外れやすい状態です。無理な力が加わると簡単に脱臼してしまいます。 - 体温調節が未熟
裸やおくるみ一枚の状態ではすぐに体温が奪われます。 - 呼吸が浅く、気道が狭い
姿勢によっては気道が圧迫され、呼吸困難に陥るリスクがあります。
これらのリスクを回避しつつ、芸術的な写真を残すために、プロのフォトグラファーは**「常に大人の手が支えている状態」**で撮影し、後からその手を消すという手法(合成)をとるのです。
【種明かし】頬杖ポーズ(フロッギーポーズ)は合成が基本
ニューボーンフォトの中でも特に人気が高く、同時に「危険ではないか?」と議論を呼ぶのが「頬杖ポーズ」です。海外では「フロッギーポーズ(Froggy Pose)」と呼ばれ、カエルのような座り方が特徴です。
このポーズは、**「合成なしでは成立しないポーズ」**の代表格です。
頬杖ポーズが危険と言われる理由
もし、このポーズを「支えなし」で行おうとした場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。
- 首への深刻なダメージ:重い頭を支えきれず、首がカクンと折れ曲がり、頸椎や神経を損傷する恐れがあります。
- 転倒・落下の危険:バランスを保てず、前後左右に倒れて顔や頭を強打する可能性があります。
- 手首・肩への過負荷:全体重が細い手首や肩にかかり、骨折や脱臼を引き起こすリスクがあります。
- 呼吸困難:顎が圧迫されたり、首が詰まったりすることで気道が塞がる危険性があります。
新生児は「痛い」「苦しい」と言葉で伝えることができません。一瞬でも支えを外すことは、命に関わる危険行為なのです。
プロの「頬杖」撮影手順(安全なやり方)
では、プロはどのようにして安全にこのポーズを撮影しているのでしょうか。実際の現場では、以下のような手順で撮影が進められます。
ステップ① 大人が頭を上から支える
アシスタントやパパママが、赤ちゃんの頭頂部を優しく、しかししっかりと手で支えます。この状態で、カメラマンはシャッターを切ります。この時、下半身や手足の位置はポーズ通りにセットされていますが、頭の重みは全て大人の手が支えています。
ステップ② 別のカットで手首や腕を支える
次に、頭を支えていた手を離し(もちろん別の場所を支えながら)、今度は赤ちゃんの手首や腕の下を支えます。頭のバランスが崩れないよう注意しながら、もう一枚撮影します。
ステップ③ 2枚を合成して完成させる
撮影後、Photoshopなどの画像編集ソフトを使用し、①と②の写真を重ね合わせます。①の写真からは「手首を支えている手」を消し、②の写真からは「頭を支えている手」を消します。
こうすることで、魔法のように「誰の手も借りずに、赤ちゃんが一人で頬杖をついている写真」が完成するのです。
【重要】素人が見様見真似で行うのは絶対にNG!
SNSで完成写真だけを見て、「うちの子もできるかも」と自宅で挑戦するのは絶対にやめてください。プロは、赤ちゃんの関節の可動域や安全な支え方を熟知した上で、合成前提で撮影しています。知識のないままポーズをとらせることは、事故に直結します。
ミノムシポーズ(おくるみ巻き)も実は高度な技術
次にご紹介するのは、おくるみでぐるぐると巻かれた「ミノムシポーズ(ポテトサックポーズ)」です。赤ちゃんが安心して眠りやすく、コロンとしたフォルムが可愛いことから人気のスタイルです。
一見、ただ巻いているだけに見えますが、これも実は高度な技術と安全管理が必要なポーズです。
ミノムシポーズが危険と言われる理由
おくるみ自体は、赤ちゃんに胎内にいた時のような安心感を与え、入眠を促す効果があります。しかし、**「撮影のための巻き方」**を間違えると、凶器になりかねません。
- 呼吸抑制のリスク:胸部をきつく締め付けすぎると、肺が十分に膨らまず、呼吸が浅くなってしまいます。
- 股関節脱臼のリスク:脚を無理やり真っ直ぐに伸ばして固定すると、股関節脱臼を引き起こしやすくなります。
- 窒息のリスク:布が顔にかかったり、うつ伏せに近い状態で顔が埋もれたりすると、窒息の危険があります。
- うつ熱のリスク:厚着や巻きすぎにより体温が上がりすぎ、脱水症状やSIDS(乳児突然死症候群)のリスクを高める可能性があります。
プロの「ミノムシ」安全管理ポイント
プロのフォトグラファーは、可愛さよりも「安全性」と「快適性」を最優先におくるみを巻いています。
① 首と顔周りは絶対に圧迫しない
赤ちゃんの顔色は常に確認できるよう、口や鼻を布で覆うことは絶対にしません。また、首が苦しくないよう、指一本分のゆとりを持たせます。
② 股関節は「M字」を保つ
おくるみの中で、赤ちゃんの脚はカエルのように開いた「M字(あぐらのような状態)」になっています。これは股関節に負担をかけない最も自然な姿勢です。無理に脚を伸ばして巻くことはしません。
③ 「固定」ではなく「安心感」のための密着
おくるみは、赤ちゃんをガチガチに固めるためではなく、モロー反射を防ぎ、ママのお腹の中にいた時のような密着感を与えるために巻きます。きつすぎず、緩すぎない絶妙な力加減がプロの技です。
④ 自立させる場合は合成を使う
ミノムシ状態で直立しているように見える写真や、不安定なカゴに乗っている写真も、実は合成です。アシスタントが上からおくるみを支えて撮影し、後から手を消しています。
ニューボーンフォトの合成技術(レタッチ)とは?
ここで、ニューボーンフォトにおける「合成(レタッチ)」の役割について改めて整理しましょう。
一般的に写真の「合成」や「加工」というと、「実物より良く見せるためのズル」「フェイク」といったネガティブなイメージを持たれることがあります。しかし、ニューボーンフォトにおける合成は、意味合いが全く異なります。
合成は「加工」ではなく「安全対策」
ニューボーンフォトのレタッチ技術は、**「赤ちゃんの安全を守りながら、理想のアート作品を作るための技術」**です。
- 手を消す(支えを消す):転倒や首への負担を防ぐために必須の処理。
- 背景を広げる・整える:安全な低い位置で撮影し、後から背景を合成することで、高い場所にいるような演出をする。
- 肌の補正(赤み・黄疸・湿疹):新生児特有の肌トラブル(新生児ニキビやひっかき傷、黄疸による変色)を、健康的で滑らかな肌に整える。これも「生まれたての痛々しさ」を軽減し、美しい記憶として残すための配慮です。
つまり、**「合成=ズル」ではなく、「合成=プロの安全管理の証」**なのです。合成を行わずに危険なポーズを撮っているフォトグラファーの方が、よほどリスクが高いと言えます。
「素人が真似する危険性」が一番怖い
近年、スマートフォンのカメラ性能が向上し、YouTubeなどで撮影方法の動画も見られるようになったため、セルフでニューボーンフォトに挑戦する方が増えています。
しかし、「プロの完成写真」だけを見て真似をすることほど危険なことはありません。
特にやってはいけないNG行動
- 頬杖ポーズを自宅でやろうとする:「一瞬なら大丈夫だろう」と手を離すのは絶対にNGです。
- うつ伏せで顔を埋める:ふかふかのクッションや毛布に顔を埋めると窒息します。
- 高い場所に寝かせる:ソファやテーブルの上は落下の危険があります。必ず床で撮影しましょう。
- カゴやバケツに無理に入れる:重心が不安定になり、容器ごと転倒する恐れがあります。
- 撮影に夢中で目を離す:ファインダーを覗いている間も、赤ちゃんの様子(呼吸、顔色)から注意を逸らしてはいけません。
セルフ撮影で安全に撮るなら「ナチュラル」が正解
もし、ご自宅でパパやママが撮影(セルフニューボーンフォト)をするのであれば、無理なポーズは一切やめましょう。**「安全でナチュラルなポーズ」**こそが、セルフ撮影の正解です。
安全でおすすめのセルフニューボーンフォト
- 仰向け(ゴロン)のポーズ
いつもの布団やラグの上に、お気に入りの布を敷いて仰向けに寝かせるだけ。上から真俯瞰で撮影すれば、とても可愛く撮れます。 - パーツフォト
小さな手足、耳、まつげ、唇などのアップ写真は、テクニックいらずで感動的な一枚になります。 - 家族の手を添える
パパやママの大きな手が赤ちゃんの体を包み込んでいる写真は、大きさの対比が分かりやすく、愛情が伝わる素敵な構図です。 - ふんわりおくるみ
きつく巻くのではなく、上からふわっと掛ける、あるいは緩く包む程度であれば安全です。
プロに依頼するなら確認すべきポイント
「やっぱり頬杖ポーズやミノムシポーズが撮りたい!」
そう思うなら、必ず信頼できるプロに依頼しましょう。その際、値段の安さだけで選ぶのではなく、以下のポイントをチェックしてください。
【安全なフォトグラファーを見極めるチェックリスト】
✅ 新生児撮影の専門的なトレーニングを受けているか
(ワークショップへの参加歴や、安全講習の受講歴など)
✅ 頬杖ポーズなどの難易度の高いポーズは「合成」で行うと明記・説明しているか
✅ 撮影当日はアシスタント(補助者)が同行するか、あるいは親が補助に入るよう指示があるか
✅ 室温管理や衛生管理を徹底しているか
✅ 赤ちゃんが嫌がった場合、無理にポーズを続行せず中止・変更する方針か
ホームページやSNSに「安全への取り組み」や「合成についての説明」がしっかりと記載されているフォトグラファーは、信頼できる可能性が高いです。逆に、そういった説明が一切なく、ただ「格安で撮り放題!」と謳っている場合は注意が必要です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 頬杖ポーズは本当に合成なのですか?
A. はい、安全な撮影であれば合成が基本です。
支えなしで頬杖をついているように見える写真は、複数枚の写真を合成して作られています。もし支えなしで撮影しているフォトグラファーがいたら、それは非常に危険な行為です。
Q2. ミノムシポーズは苦しくないのですか?
A. 正しい知識で巻けば、苦しくありません。
赤ちゃんにとって心地よい圧迫感(密着感)になるよう調整し、呼吸を妨げない巻き方をしています。プロに巻かれると、安心してスヤスヤ眠ってしまう赤ちゃんがほとんどです。
Q3. 合成写真は「作り物」っぽくなりませんか?
A. プロのレタッチ技術があれば、非常に自然に仕上がります。
違和感なく合成し、肌の質感なども自然に残すのがプロの腕の見せ所です。「加工しすぎ」ではなく、「本来の可愛さを引き立てる」ための編集が行われます。
Q4. 自宅でニューボーンフォトを撮るのは危ないですか?
A. ポーズを選べば安全です。
頬杖やうつ伏せ、高い場所での撮影など、リスクのある行為を避ければ問題ありません。セルフ撮影では、赤ちゃんの自然な寝姿やパーツフォトを中心に楽しみましょう。
まとめ|ニューボーンフォトは「合成=安全対策」という事実を知るべき
ニューボーンフォトにおける「頬杖ポーズ」や「ミノムシポーズ」。
その魔法のような美しさは、**「赤ちゃんの安全を最優先にした撮影技術」と「高度な合成技術」**の掛け合わせによって生まれています。
- 頬杖ポーズは、支えなしでは成立しない(合成必須)。
- ミノムシポーズは、解剖学に基づいた正しい巻き方が必要。
- プロのレタッチは、盛るためではなく、守るための技術。
- 素人が見様見真似でポーズをとらせるのは、事故の元。
「可愛い写真を残したい」という親心は誰もが同じです。しかし、そのために赤ちゃんを危険に晒してしまっては本末転倒です。
ニューボーンフォトを撮るなら、その可愛さの裏側にある「安全への配慮」と「プロの技術」を理解し、信頼できるフォトグラファーに依頼するか、セルフなら無理のない範囲で楽しむこと。
それが、かけがえのない我が子を守りながら、一生の宝物を残すための正解です。
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